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2011年2月19日 (土)

世界の終わり方その1 《事件》

世界の終わり方その1 《オキアミ》の続き

世界の終わり方その1 第3話

 

夜、かなり遅くなって家に帰りついた僕は、疲れた体に鞭を打ちつつ、ビールをジョッキに注ぎながらパソコンのスイッチを入れた。

ネットでニュースを読み、世界中の至る所にUFOが現れたのを知った。

ニュースではアメリカ政府のだれか、おそらく最高幹部の一人がリークした情報によって、ホワイトハウスで開催されていた国家安全保障会議に、黒ずくめの二人の男達が侵入した。

二人組はその場で高官たちに向かって、地球からの速やかな退去を勧告し、その後、シークレットサービスの連中を相手にせず、行き止まりの廊下を歩いて立ち去るという離れ業を演じたと伝えていた。

・・・日本政府からの連絡を受けて、対策を取っていたはずだが米国自慢の防衛力は何の役にも立たなかったらしいな・・・

あのばかでかいUFOは実体を持っていないから、事前に発見できないのも無理はないし、どっちにしろ人類が相手にできるような連中じゃないだろう。そんな気がした。

少し酔った頭で、昨日からの出来事を思い出してみた。

あのUFOはなぜ僕の住んでいる街に現れたんだ。

偶然とは思えない。

しかし、そうすると何か意図があったんだろうか。

十分な調査能力を持っているはずの連中がこの街に世界で最初に来た理由はいったい何だったんだろう。

 もしかして、今日の昼、大崎先生のホテルの部屋で見たあの連中と何か関係があるんだろうか。

まさか、同じ連中じゃないだろうな。

大崎先生は約束の時間に店に現れなかったので、僕は学生達に、食事を済ませて、午後の講義に出るようにいい、店を出た。

悪い予感を振り払いながら、大崎先生が泊まるといっていたホテルまで行った。

フロントで訪ねると大崎先生はしばらく前にチェックインして、部屋に行ったがそれきり出てこないということだった。

僕は悪い想像を押さえながら、フロントのマネージャーと一緒に先生の部屋まであがっていった。

ドアは完全にしまっておらず、隙間からは倒れている先生の姿が見えていた。

ドアを開けてすぐ、マネージャーに「医者を呼べ、急げ」と告げた。

 「先生、何があったんですか」倒れている大崎先生の頭に手を当てた。・・・えっ、なんだこれは・・・どうやら僕の眼の前で、先生の身に起きた出来事が再現されているらしい。

 先生は部屋に入ってすぐに、二人組の男に襲われ、荷物を奪われた。

「何者だ、待て、何をするんだ」

男達の一人が言った。

「先生、申し訳ありませんがあなたが見つけたものは間違ってこの世界におかれたものなんです、僕たちが回収してまわっているんです。
お気の毒ですがあなたがいろいろと調査されたことは全て実際にはなかったことなので、お忘れ願います」

そういって男達の一人が取り出した奇妙な機械が出す振動によって大崎先生は倒れた。

その後、彼らは先生の荷物の中を調べて壁の中へ消えていった。

 僕はすぐに悟った。
研究室に戻らなければいけない。

でもこの状況では・・・。

とりあえず、大崎先生の命を救うのが一番だ。

先生はすぐに大学病院の集中治療室へ収容された。

それから、僕は警察で事情聴取を受け、要領の得ない説明をした後、夜遅くまで、病院の大崎先生のそばにつめていた。

 
 やはり、あの二人の男達はUFOから降りてきた連中だ。

たぶん、研究室は連中にかき回されているだろう。

学生達は無事だろうか。

まんじりともせずに、朝を迎え、研究室に急いだ。

 研究室に入っても何も変化があるようには感じられない。

検査機器を調べてみると、大崎先生が残していった試料の全てが消滅していることが解った。

・・・連中は地球の機械には関心がないらしいな。

そういう指令は出てないんだろう。

僕ならどんな機械でも一通り調べるんだが。

奴らは少し人間をなめているみたいだな。

・・・   もう少しすれば学生達のでてくる時間だ。何も起きてなければいいんだが。

デスクの前の椅子に深く座ってみてから、パソコンに気がついた。

もしかしてこれの中にDVDが残っている!

 DVDはそのままになっていた。

これは有機物ではないし、単なる情報にすぎないから、検知する必要を感じなかったんだろうか。

あり得ないことだな!

連中はこのミスにいずれ気がつくだろうから、複製を造っておこう。

どこに隠しておけばいいのかな? 

僕と連中の知性の戦いというやつだな。

学生が部屋に入ってきた。

結城君も、水原君もいつもと何も変わらないように見える。

「先生、昨日はあれからどうなったんですか。大崎先生はどうしたんですか。」

「君たちの質問は極めてもっともだ。答えるからとりあえず椅子に座りなさい!」

二人にホテルで僕が経験した出来事を細大漏らさずはなした。

このSF好きな娘と理系のくせにSFを知らない男の子はなかなかおもしろいことを言い出して僕を驚かせるのが得意なのだ。

「さて、君たちの意見を聞かせてくれ」

「先生は超能力の持ち主なんですね! それって、ポスト・コグニッションですよ」

「水原君、何のことか解らない。解るように説明してくれ」

「先生も、SFマニアのくせに、これぐらい知らないんですか」

「仕方ないわね。ポスト・コグニッションというのは、自分が触れたものの過去を見る能力のことです。先生の場合はぴったり当てはまると思うんですけど」

「僕にそんな能力があるとは思えないが、あの連中はこのことに気がつく可能性はあるだろうか?」

「先生!」

「何だ、結城君」

「先生は自分の見られた幻覚を事実だと思っていられるようですがそのことをだれかに話しましたか?」

「いや、君たちだけだ」

「それはよかったですね。確かに僕たちの周りには不思議なことが起きているみたいですが誰も信じてくれないでしょう」

「僕もそう思っている。僕は確かにSFおたくだが超能力の実在を本気で信じているわけではない」

「しかし、僕が見たのは幻覚ではないだろう」

「幻覚にしてはあまりにもリアルだった。僕が超能力者でないのならだれかが僕の頭に干渉して、幻覚を見せたのだと思う」

「それはだれか、私たちに真実を伝えようとしているものがいるという意味ですか」

「僕には解らない」

「先生、もし先ほど言われたように、宇宙人、宇宙人とは限らないみたいですけど、私たちよりも技術が進んでいるなら、この部屋を監視していると言うこともあるんじゃないですか」

「もちろん、そうだろう。しかし、それが本当なら、連中はこんな事態になる前に問題を解決できていたはずだ」

「考えても見ろ。彼らが本当に銀河連邦の役人とやらで、銀河系のあちらこちらに、高速道路を造っているんなら、未開の星に突然やってきて、脅迫同然のやり方で、立ち退きを求めたりはしないだろう」

「連中は何かまるきり、違う次元のことを考えているに違いない!」

「先生、それはどういうことですか」

「今のところは解らないが連中が本当に我々がじゃまだと考えているなら、我々の想像以上に簡単に我々を排除できると言うことだよ」

「あのオキアミに似た生物はいったいなんですかね」
と結城君が言った。

「まるで解らないが、大崎先生が襲われたところから考えて、僕たちはこの一連の出来事の核心に近いところにいるんだと思う」

「僕たち3人はいつでも襲われて記憶を消される可能性があると思う。記憶だけではないかもしれない」

「連中がその気になったら、どうしようもないとは思うがとりあえず、君たちの授業が終わったら、もう一度この部屋に集まるよう、お願いしたい」

結城君は部屋を出ていくとき、「ボン・ボヤージュ」と言った。

《拉致》へ続く

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